Last Valentine

夕方。
地元のミスドは結構空いていて、ゆっくり話しをするのにはなかなかの穴場。
ただ椅子の座り心地が悪いのがたまにキズ。
腰にかなり負担がかかる。
もう若くねぇんだって。

俺はアイスカフェオレを一つ。
彼女はチョコのドーナッツにまたこれでもかというくらいチョコをかけたものとアイスティーを一つ。

『また太っちゃうなぁ…』

なんて言いながらトレーを運ぶ彼女は控え目に言っても痩せている。
お前日本中のダイエット信者の前で言ったらブッ飛ばされるぞ。

俺等は奥の四人掛けのテーブルに座った。
座る時微かに彼女の香水の香りがして、それが良い香りだと口に出そうとしたがやめた。
俺が言うとかなりセクハラっぽい。

彼女はめっちゃ話した。
家族のコト、友達のコト、学校のウザイ教師のコト、話題のドラマ、好きな芸能人…etc

こいつよく喋る。
喋る女の子は苦手なのだが、この子の話し方は結構好きだ。
全然飾り気がなくて、物事を割り切ってる感じ。
男にモテるタイプだと思った。

俺は何も自分のコトは話さなかった。
ただ聞いてるだけ。
彼女も意識してなのか何も聞かない。