怪盗pussy cat
「は……ッ、馬鹿か。せっかく捕まえたのに離す訳ねぇだろ!」
先程より強く腕を握ると、pussy catはやれやれと言った感じで呆れたような溜め息を一つ吐いた。
「そ。じゃあちゃんと捕まえててね?」
暗闇に閉ざされていた部屋に、小さな窓から僅かに月明かりが差し込んだ。
逆光で顔は見えないがパーカーのような物を羽織り、そのフードを深く被ったそいつは一歩、俺に近づく。
怯む事無くその行動を見過ごさないようにしていると、不意に腕を引かれて思わずバランスを崩してしまった。
「おわ……ッ!?」
傾いた俺の体は彼女によって抱き留められ、計らずしも抱き合うような格好に。
「くそ!」
体勢を立て直そうとすると、俺の耳元で彼女が囁いた。
「女だからって……甘く見ないでよね」
「……なにす……!?」
あろう事か唇が触れてしまいそうな距離から、耳元に吐息を吹き込むように囁かれ、ついでに耳に噛み付いていきやがった!
カッと熱を帯びる頬。
咄嗟に噛まれた耳を押さえると、既に俺の目の前から彼女は消えていた。