怪盗pussy cat


「キャバ嬢なんかやってるくらいだから金に困ってるんだろう?俺の女になれば働かなくてもいいし、何でも好きな物を買ってやる。それに……毎晩嫌と言うほど愛してやるぞ」

誰が誰が好き好んでこんな男の元へ行くものか。

例え目の前に札束を並べられたとしてもごめんだ。

毎晩愛してくれるって?

想像しただけで吐き気がする。

……とは言えず。

「神崎様……お優しいのね」

上目遣いに見つめてやるとあたしにその気があると勘違いしたのか、神崎が今にも口付けてきそうな勢いで顔を近付けてきたので咄嗟に体を離して空のグラスに手を伸ばす。

「神崎様、もう一杯いかがですか?」

「ん?あ、ああ、じゃあ貰おうか」

間一髪、難を逃れたあたしは水割りを作りながらこっそり琉珈を伺った。

小さく首を振るという事は、日向からの返事はまだ……か。


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