イチゴのかき氷
「なんや自分、ホテルでも連れ込まれる思うてるん?」
「なっ!あたしは別に…!」
「安心しとき。俺に襲ってもらうんには胸も色気も、ちと足らんわ。」
なっ…!?
「あんたね!言っとくけど、あたしの方が年上なんだからねっ!」
「おお、せやったせやった。堪忍な」
むぅぅ、絶対バカにしてるよこいつ。
年下のくせに、生意気。
「さてと、疑いも晴れたことやし、行こか。ところで自分、名前なんて言うん?」
「は?今頃?」
「ははっ、確かに今頃やなぁ。でもよう考えたら、自分の名前知らんねん。今まで自分言うてたからな。教えたないなら聞かないで?」
「…千夏(ちなつ)。」
「千夏か。へぇ、自分によう合った名前やな。」
「そう?」
「おぅ。千夏は、夏っぽいからな。」
「意味がわかんない。」
「言ってる俺にも、ようわからん。」
「なにそれ。」
バカみたいなことを言うこいつが可笑しくて、あたしは笑いをこぼした。