イチゴのかき氷
「なんやて?言いよったな。そんな奴には、こうやっ」
あたしが一瞬気を抜いた瞬間に、蒼空は唐揚げを奪い去った。
「あぁっ!」
「おー、なかなか美味いやん」
「ひっどーいっ!あたしのからあげー!!」
「ええやん、一つくらい。まだいっぱいあるやん」
「でもっ、でもぉっ」
唇を噛んで蒼空を睨み付けた。
あたしよりも頭一つ分以上背の高い蒼空を、自然と見上げる形になっていてなんだか悔しい。
「―――…。」
「…蒼空?」
あたしが睨み付けてるって言うのに、蒼空はまばたきすらせずに固まってて。
思わず首をかしげた時だった。
「お前それ、男の前でやらん方がええで。」
「はっ?なんで?」
「なんでもや。ええか?絶対やで」
「意味わかんない。」
「お前はわからんくてもええ。」
にしっ、と白い歯を見せて笑った蒼空はぐしゃぐしゃとあたしの頭を撫でると、またからからと笑った。