イチゴのかき氷
「ま、俺の前でならやってもかまへんけどな。」
蒼空はわざとらしく親指を突き立てて、爽やかなスマイルを浮かべた。
蒼空は顔も整っててかっこいいはずなのに、その仕草がひどく滑稽で可笑しくて。
「…ぷっ!あははははっ!!」
「なっ、なに笑うてるん!?」
「あははっ…!ごめ…!だって蒼空…っ」
お腹を抱えて笑うあたしを、蒼空は不思議そうに見ていた。
「ったく、いつまで笑うてるん?」
「えへへ、ごめんごめん」
ようやく治まった笑いの衝動。
運動のあとみたいにヒーヒーいいながら、目にたまった涙をぬぐった。
そんなあたしを見て、蒼空は目を細めて微笑んだ。
「千夏は、笑顔がよう似合うなぁ。」
「えっ?何、突然。」
「今ふと思っただけや。やっぱり怒った顔よりも笑顔の方がええ。」
「そ、そうかな…」
「おぅ。やから、千夏は笑っとけ」
蒼空は、今度は真面目な雰囲気で優しく笑った。
そうすると、全然可笑しくないから不思議だ。
むしろカッコいいくらい。