イチゴのかき氷
「そんな夏はいやぁぁぁっ」
それは今一番怖い、と噂のホラー映画だった。
「ええやん。涼しなるで?」
「かき氷で十分だよぉぉぉっ!!」
「まさか自分、こんな子供騙しが怖いん?」
「う…っ」
「へぇ、俺より年上のくせに怖いんか。へぇぇ。そやろなぁ。千夏は俺よりもガキやし、しゃーないなぁ。じゃあ、やっぱり止め…」
「…そんなことないしっ!いいよ、見よう!!」
「言うたな?」
にやり、と口角をあげた蒼空に、悪寒を感じたがもう遅い。
「ほな、行きましょか?俺より大人の千夏はん?」
「う、うぅ…」
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『呪って…呪ってや…る…』
「きゃぁぁぁぁぁっ!!」
その映画は、本当に怖くて怖くて。
あたしが泣き叫ぶその隣で、蒼空はずっと笑ってた。
『許さないぃぃぃぃ!!』
「いやぁぁぁぁぁっ!!」
幽霊が恐ろしい形相で主人公に迫るたびに、あたしは絶叫していた。
『あ、あ゙あ゙あ゙あ゙あっ』
「もう無理ぃぃぃぃー!!」