イチゴのかき氷






「そんな夏はいやぁぁぁっ」






それは今一番怖い、と噂のホラー映画だった。







「ええやん。涼しなるで?」






「かき氷で十分だよぉぉぉっ!!」





「まさか自分、こんな子供騙しが怖いん?」






「う…っ」






「へぇ、俺より年上のくせに怖いんか。へぇぇ。そやろなぁ。千夏は俺よりもガキやし、しゃーないなぁ。じゃあ、やっぱり止め…」






「…そんなことないしっ!いいよ、見よう!!」






「言うたな?」







にやり、と口角をあげた蒼空に、悪寒を感じたがもう遅い。







「ほな、行きましょか?俺より大人の千夏はん?」






「う、うぅ…」











*******










『呪って…呪ってや…る…』







「きゃぁぁぁぁぁっ!!」







その映画は、本当に怖くて怖くて。






あたしが泣き叫ぶその隣で、蒼空はずっと笑ってた。






『許さないぃぃぃぃ!!』






「いやぁぁぁぁぁっ!!」







幽霊が恐ろしい形相で主人公に迫るたびに、あたしは絶叫していた。







『あ、あ゙あ゙あ゙あ゙あっ』







「もう無理ぃぃぃぃー!!」










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