イチゴのかき氷
二時間後、あたしはようやく恐怖から解放された。
「うっ、うっ…ひっく」
「いつまで泣いてるん?」
「だって、だって…」
「でも、涼しなったやろ?」
「ならないぃ…。蒼空のバカぁ」
「せやから、泣き止めって。俺が悪かったわ。」
「いやぁ、もう蒼空なんかしらない。あっち行ってよバカバカバカぁ」
「ふぅ、しゃーないな。」
そんな言葉が蒼空から出て、あたしから遠ざかる足音がして慌てて顔をあげた。
「…っ!蒼空っ!?」
涙で潤む視界には、小さくなってゆく蒼空の背中。
「や…、待って蒼空…」
追いかけようとしたけれど、人の波にその姿はのまれてしまった。
しかも、あたしも人が多くて動けない。
…そんな。
「…蒼空、行っちゃった」
まさか、本当に行っちゃうなんて。
思っても見なかった事態に、あたしはしばらく呆然とした。