イチゴのかき氷
仕方なく、今まで座っていたベンチに再び腰を下ろす。
ぼんやりと視線を足元に向け、涙をこらえた。
あたしが、あっち行ってよなんて言ったから…。
でも、蒼空急に怒るなんて…
蒼空と見た映画の半券を見つめ、ぐっと唇を噛む。
「そらぁ…っ」
名前を呼んでも、あのおちゃらけた返事は返ってこない。
ポロリ、と頬を雫が伝った時だ。
ふっ、とあたしの足元が暗くなった。
えっ?
あたしの上に影が覆い被さっているのだと気付いたのと、それが蒼空かもしれないと思ったのは同時だった。
出会った時と同じように、子供みたいな無邪気な笑顔でそこにいるに違いない。
―――こんにちは。なに食べてんのん?
蒼空…―――。
涙を拭って、笑顔で顔をあげると…。