イチゴのかき氷
「…千夏!」
「…っ!?」
すぐ側でずっと待っていたその声が、した。
そっちへと顔を向けると、すごく怖い顔の蒼空がいて。
おじさんの手は、離れていた。
「千夏に何してるん?俺のに、気安く触るんやない。」
低い低い声が威圧的におじさんへと向けられ、おじさんはそそくさと去っていった。
「千夏、大丈夫か?」
蒼空にそう声をかけられ、あたしは体から力が抜けた。
ストン、と再びベンチに腰を下ろす。
「千夏…っ」
蒼空は慌ててそんなあたしに駆け寄り、ぎゅうっと抱き締めてくれた。
「…そ、ら…?」
「びびらせんな、ボケ。」
蒼空の声は、ちょっと震えていた気がした。
ぎゅっ、とあたしを包む腕にさらに力がこもる。
「そら…、ごめんなさい。」
あたしも、その大きな背中にそっと、手を回した。