イチゴのかき氷
いつの間にか空は、夕闇色に染まっていた。
あんなに綺麗だった蒼空は、今はもう見えない。
「もう夜やな。」
「うん…。」
「千夏、俺な…」
蒼空は、いつになく思い口調で口を開く。
そうして、蒼空が口にしたのは思いもよらないことだった。
「…俺な、明日大阪に帰るんや。」
「…え?」
今、ナンテ…?
「今日、ここにおるんは夏休みを利用して大学の見学に来ただけなんや。午前で見学終わって、明日はまた大阪に帰らんとあかん。」
「大阪に…?」
「そや。やから、千夏とはこれっきりや。」
蒼空は、遠くを見つめてぼんやりと言った。
「大阪に帰ったら、受験勉強必死にやって、自分の時間も持てんで辛いんやろうなぁ。今までも結構辛かったしな。」
蒼空は、自嘲気味に笑みをこぼした。
「やから、千夏と遊んだ今日1日、ええ気分転換になったわ。おおきに。」