イチゴのかき氷
「そ、ら…」
「…アホ。そない、泣きそうな顔すんなや。」
「だって、蒼空…」
ポロリ、と涙が頬を濡らした。
「あたし、蒼空と…もっと…っ」
もっと、一緒にいたかった。
そう言いたかった。
けれど、蒼空の顔があまりに悲しそうで。
悲しそうに笑う蒼空が、それ以上言うなと言っているみたいで言えなかった。
「…俺な、千夏。」
そんな時蒼空は、ビルのなかに沈もうとしている赤い太陽を眺めてポツリと口を開いた。
「バカみたいやけどな。たった1日一緒にいただけやのに、忘れられへんような気ぃすんねん。」
「え…」
「俺…千夏が、好きや。」
蒼空…
赤い夕日が蒼空を包み込んでいたせいで、その時の蒼空の顔は見えなかった。
ただ、彼の言葉と声が、深くあたしを貫いた。
我慢できなくて、また涙が落ちた。
ぐっと唇を噛み締めて、目をぎゅっとつぶって。
それでも涙は止まらなくて。
蒼空の影は、どんどん歪んでいった。