少年と蝶
春が来て、夏が去り、秋が訪れ、冬が過ぎ、また春が来て、夏が去り、秋が訪れ、冬が過ぎた。

何度も何度も季節は巡り、いつしか少年は大人になり人間と恋をして、結ばれて、子を養い、そして終には老人となった。

老人は、窓の傍に揺り椅子を運ばせ、何かを待つかのように空の一点を飽くこともなく見つめていた。

老人が何を見ているのかは誰にも分からなかった。
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