君が笑ってくれるなら
「お帰り、夕。ごめん、電気消して」
 
小説を枕元に置きながら、言った。
部屋は、パチンという音と共に暗くなる。
 
「ただいま。今日はびっくりしたろ。言わなくてごめんな」
 
二段ベッドの梯子を上りながら、夕が言った。
 
「別に。何となくそんな気はしてたから」
「ははっ。そっか。双子の神秘だな。でも、凪、帰って来た時、機嫌悪かっただろ?稜が、自分が悪かったんじゃないかって心配してたぞ?」
 
こんな時、やはり双子だな、と思う。
隠そうとしても分かってしまう。
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