君が笑ってくれるなら
所詮、何とも思ってないんだろう?
所詮、俺はただの、彼氏の片割れなんだろう?
所詮、俺を「男」として見てないんだろう?
だったら……
「さぁ、帰ろっか」
微笑みと共に差し出された、手。
相変わらず、俺は素直じゃない。
あの時から、何も変わっていない。
ぶっきらぼうな態度も、そのまま。
だけど、ただ一つだけ、変わったものがある。
「今日の晩飯何かな……」
差し出された小さな手に気付かないふりをして、ベンチから離れ、家に向かって歩き出す。
「ちょっと!一人で帰るなーっ!」
拗ねた口調で、彼女が追いかけて来るのが、見なくても分かった。