君が笑ってくれるなら
突然の誘いに驚いたが、正直、嬉しかった。
しかし、それを悟られたくなくて、つい突き放すような言葉しか、俺の口からは出てこない。

「はぁ?夕と行けばいいじゃんか」
「夕、仕事入ってるんだって。だから一緒に行こう?」

所詮、俺は夕の代わりか。
先ほどの嬉しさが、萎んてゆく。

「やだよ。面倒だし。女友達と行けばいいじゃんか。二十歳も過ぎた、恋人でもない男女が何で祭りなんか……」

「友達じゃ意味ないもん……」
「は?一緒に行ける人がいればいいんだろ?」
「そうじゃなくって……凪と行きたいのに……」
「……」
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