君が笑ってくれるなら
彼女の言った言葉の意味が、俺の都合のいいように変換されてならなかった。
彼女の言葉は、いちいち俺を期待させる。
でも、期待してはいけないのは分かっているから、どうしても素直になれない。

本当は凄く嬉しいのに。
……抱き締めたいくらいに。

――夕の彼女じゃなかったら。


俺が、あまりにも突き放すような事を言ったからだろうか。
泣きそうな顔をするので、俺はある意味で本心を言葉に表す事ができた。
でも、やっぱり素直な言葉ではなかった。

彼女の顔を見ないように、自分の顔を見せないようにそっぽを向いて、言った。
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