君が笑ってくれるなら
 
 
 
 
 
その次の日。
結局、彼女と夏祭りには行かなかった。
 
夕が、わざわざ仕事を早めに切り上げて、彼女と夏祭りに行くことを優先したからだった。
 
一緒に行けなくてごめん、と謝る彼女に、用事ができて行けなくなったから丁度良かった、と言った。

そんな都合のいい用事なんかあるはずがなかった。
 
その日、一人で神社の方から上がる花火を見ていた。
 
 
 
 
あの夏は過ぎて、いつの間にか秋風が吹くようになった。
 
いつまでも、今でも、打ち上げ花火の音が耳に残って離れない。
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