君が笑ってくれるなら
第四章
「記憶喪失?」
4人の親が同時に言った言葉。
俺は黙って頷いた。
病院の会議室を一室、無理を言って借りた。
ここなら他人に聞かれることもない。
もちろん、稜にも。
目の前に4人の大人が座り、俺一人だけが対面して座っているこの図は、何とも異様に思えた。
「稜には、夕が死んだことを言わないでください。そして、俺が今日から『事故で一部記憶を失った夕』として、稜の傍にいます――」
これが俺の決意だった。