君が笑ってくれるなら
 
 
話が済んだ後、稜の両親は俺の手を握り、涙を流しながら、ありがとうと繰り返していた。
きっとこの人達も、自分達の娘の将来を心配しながら、眠る彼女の傍に居たのだろう。
 
苦しんで居るのは自分だけでないと思うと、少しだけ気持ちが楽になった気がした。
 
 
 
 
病室に戻ると、稜が上半身を少し起こして、窓の外を見つめていた。
彼女に近付いてゆくと、俺に気付いたのか、彼女は振り返った。
 
「夕っ!どこ行ってたの?」
「ごめん。ジュースを買ってこようとして、自販機を探してたら迷ったんだ」
 
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