君が笑ってくれるなら
気がつくと、俺は彼女を抱き締めていた。
腕の中に、彼女を感じる。
数日前には考えられない事だった。
 
彼女は、俺の双子の兄の彼女で。
何時しか、二人を見る度に苦しくなって。
彼女すら見たくなくて、家を出て。
 
彼女がいない所へ行って生活していた、つもりになっていた。
だが、彼女は俺の中にずっと居て、忘れるどころか大きな存在になっていた。
 
そんな彼女が、俺の腕の中に居ることが信じられなかった。
夢なのかもしれない。
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