君が笑ってくれるなら
次の日、彼女の元を訪れた。
 
彼女は、包帯とあまり変わらない真っ白な腕を、寝間着の袖から覗かせていた。
 
「夕!」
 
俺を見るなり、笑顔で名前を呼ぶ彼女。
つられて俺も、笑顔で応える。
 
「おはよう、稜。いよいよ明後日だな、退院」
「うんっ!早く家に帰りたくて仕方ないの。病院って退屈なんだもん。もう、注射は当分やりたくないしね」
「そうだな……稜、そのことなんだけど」
 
俺は、引っ越しのことを彼女に話した。
彼女は、突然のことに驚いたらしく、目を丸くしている。
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