残像の国のアリス
「着きましたよ、アリス。ここが不思議の国です」
ようやく着いたのね?ここが私が求めてた不思議の国?
「私の役目はこれだけなので。では、さよ」
「ちょっと待ってよ!私を一人にするの?」
白兎はどこかに行こうとして歩き出している。その白兎の腕を掴んだ。不思議の国に着いて間もない私を白兎は一人にするのつもりなの?いくらなんでも一人じゃ不安よ。
「クス。アリス、貴女はひとつ勘違いをしてますよ」
白兎は私の目の前まで来た。そして、私の顎を掴み逃げれないようにした。
「……っちょっと!何よ!」
白兎は私の瞳を見る。
私を見てる瞳はさっきとは全く違う。とても冷たい瞳だった。
「貴女のために忠告をしてあげましょう」
何よ、何なのよ?
「この国の住民は、貴方と彼女のどちらかを殺そうとしてるんですよ、アリス」
「え?」
「気をつけて下さいね、この国の住民には、そして私にも」
私は白兎の言った意味がよく分からなかった。
それだけ言って白兎はどこかに行ってしまった。その場に私一人を残して。
「……ちょっと、これからどうしたら良いのよ?」
さっき白兎は言った。この国の住民は私と彼女のどちらかを殺そうとしていると。
彼女って誰?
この国の住民に気をつけろとも言ってた。そして白兎自身にも。一体私はこれからどうすれば良いのよ!帰りたい。お姉様の居た場所に帰りたい!
「アリスか!お前はアリスか!」
「……っな…に?」
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