残像の国のアリス
私は声がした方を振り返った。
そしたら、銃やらナイフやら武器を持った男や女達がいたのだ。
「あれはアリスだ!」
「あいつは俺達を見捨てた!」
「アリスも女王も許さない!」
そう言い、私の方へ走って来た。やばい、このままだったら確実に殺される。
誰か助けて!!
「死ね!アリス!」
ナイフを持った男が私の目の前に来た。そして、ナイフを振り下ろそうとした。
「……っい…や!」
私はとっさに目を閉じた。もう、無理だ。
「おいおい!そこの人達!あんたら暇人だね」
「何だ!お前は!」
えっ?
私は聞いた事の無い声の持ち主を探した。が、周りを見渡してもいなかった。
「アリス、後ろ後ろ!」
「……うし…ろ…?」
私は後ろを見た。
そしたら私より年上だと思う青年がいた。
「……あなたは?」
私は、この人もまた私を殺そうとしてるんだと確信した。じゃないとおかしいもんね。
「俺?俺はあんたの味方さ!名前はチェシャ猫だ」
チェシャ猫?
そして今、この人は私の味方だって言った。
「嘘だわ!
だって白兎はこの国の住民は私の事を、殺そうとしてるって言ったのよ!」
私はチェシャ猫の言った事を信じなかった。
「アリス信じてとは言わないよ。だけど、俺をこいつらと同じにしないで」
そう呟いたチェシャ猫は凄く悲しそうな表情だった。
「まぁ、ちょっとだけ目を閉じてよ!」
「……どうして?」
「良いから、良いから」
私はチェシャ猫の言った通りに目を閉じた。
これで私が殺されたならどうすれば良いのよ?とか考えてしまう。
目が見えない分、耳で周りの様子を感じた。
聞こえてくるのは……ナイフの切れる音、銃を撃つ音。さっきの男や女達の悲鳴など。
一体何が今起きたのか?
見えないけど何となく分かってきた。嫌な予感がする。
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