内緒の保健室
「物理のプリント、もしかしたら俺達がここにいた時に、忘れていったかもしれねぇの。カナには先帰ってもらったし」
『そっ…か』
「お。あった」
ガサゴソ音がしたあと、蓮斗が取り出したのは本当に物理のプリントだった。
なんか残念…。
あたしの事待っててくれたのかな、とか思ったりしちゃった。
そんなわけ…ないよね。
「俺…―」
『…え?』
「実は唯に会いたかったからってのもあるんだけどね。今ここ来たらやっぱりいなかったから」
『蓮斗………』
「悪い。じゃ、俺帰るな?」
蓮斗がドアに手をかけた。
無意識のうち、そのかっこよく着くずした蓮斗の制服の袖を、思い切り引っ張っていた。