【短編】失った温もり
お互いの見えない穴を埋めるような、貪欲な行為は一瞬の永遠をくれた。


それなのに、俺は時間を気にして余韻に浸る事なく部屋を後にする。


玄関で靴を履いていると、背中に語りかけるような視線を感じる。


「私、後悔してないですから」


背後から聞こえる、覚悟を備え凛とした声。
笑顔で振り返り、その気持ちに答える。


「俺も後悔はしてないよ」


そのまま笑顔で抱き着いた後、“またな”と言い残して外に出た。

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