【短編】失った温もり
煙草を一本抜き取り、火を点けた。


俺と彼女を分かつように煙が立ち上る。
ハッとなって、慌てて煙草を灰皿に押し付けた。


「悪い。三ヶ月だっけ」


見ても分かるはずもないのに、自然と視線は彼女のお腹に向いていた。
手をお腹に当てながら答える彼女。


「……はい」


「おめでとう。届けは受理しておく、幸せになるんだよ」


そう伝えると、彼女の表情に悲しみの色が現れた。


「すいません、朝日奈部長」

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