刑事の秘め事【2】
FILE③
新しい仲間
―ジリリリリリッ…カチッ
―ジリリリリリッ…カチッ
―ジリリリリリッ…カチッ
「うるせーっ!!!!」
―ガンッ
何度止めても鳴り止まない家の目覚まし時計は見るも無残に壁へめり込んだ。
「……また新しい目覚まし時計が必要だな」
これで43258台目の目覚まし時計がこの世を去った。
「…ふあぁ〜…眠ぃ」
寝ぼけて回転しない頭で身支度を済ませ、写真立てを手に取る。
「おはよう菜野香…。今日も行ってくるな!!」
写真に映るあどけない少女は今も高校生のまま。
「部屋もやっと片付いたよな…」
一年経ったというのに、最近まで改装工事をしていてつい3週間前にこの部屋へ戻ってきた。
永山の逮捕からもう一年も立つのか…。早いな…なのに菜野香を殺した奴の情報は何一つ得られないなんて…。
「くそっ…菜野香、大丈夫だからな。絶対に捕まえるから…」
そっと写真立てを胸に抱きしめる。壊れ物を扱うように優しく…。
「行ってくる!!」
それから写真立てを棚へ戻し、家を出た。