すきって言わせて





優しい手のひらにさっきのどきどきが混じって
小さくときめいていると…




ガンッ!


近くで大きな音がした

な、なに…?

びっくりして振り返るとそこには、
恐い顔した歩が立っていた


「あ、歩?」



なんかすごい恐い顔してる…


先輩は私の頭から手を離すと
落ち着いた様子で音の方を見ていた


「イス蹴飛ばすなよ、歩…」


先輩がそう言って気づいた
歩のそばにイスが転がってるのを


蹴飛ばしたって…

「な、何してんの歩…」

「いいから!華帆、帰るぞ!」

「え、えぇ!?ちょっと待ってよー!」



急いで鞄を持つと
先輩が私の肩に手を置いてそっと囁いた


「じゃあ、気をつけてね」

先輩の顔が私の顔のすぐそばまできていた

ち、近いよ先輩ー…

「は、はい!」




顔が赤くなるのが自分でもよく分かった





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