すきって言わせて



やっぱり先輩は大人だなぁ
なんてのんきなことを思いながら
されるがまま歩にスカートを引っ張られていた

もう、歩はちゃんと聞いてたのかな?


「歩、今日も会議だって…先輩が」

「……ふーん」


歩はスカートから手を離すといきなり立ち止まった

「なぁ、華帆…」

「華帆じゃなくて、先輩でしょ?」

「全然威厳ねぇし…」

「もうっ!」


これでも先輩なのにいつも呼び捨てなんだもん

私も歩も生徒会の役員で
2年生の私の方が先輩なのに…

「たまには先輩ってつけてほしいなぁ…」

ぼそりと呟くと

歩が私の方に近づいてきて髪をそっと触ってきた


「じゃあ、華帆先輩」

「え…」

いつもは言ってくれないのに
今日は言ってくれるんだ…

初めて言われて、何故かちょっとどきっとした

なんでだろう分からないけど…


すると歩は上目遣いで見つめてきて

「…ちゅーしていい?」

って…

「だ、だめー!!」

がくっと肩を下ろしてしまう
もう、やっぱりいつもの歩だ…

なんでそんなことばっかり言うのかなぁ


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