すきって言わせて
あの時から先輩の近くにいることが少なくなって
こうやって声を聞くのも
久しいような気がした
「は、しの先輩…」
顔を上げるといつもと変わらない先輩の暖かさに
懐かしい気分になっていて
左手でぐっと涙を拭ってみた
「何かあった…?」
やんわりとした口調で問いかけられたけど
なんて言っていいのか分からなくて
ふるふると顔を左右に振ってみせた
こんな姿、見ないで欲しい
泣いてるところなんて
誰にも見られたくなかったから
ここに来たのに…
でも、先輩は何かを考えるように
じっとそこに立ったままでいると
先輩はゆっくりと口を開いた
「もしかして、歩のこと…?」