すきって言わせて



会議が始まると退屈そうに
窓の外を眺めていて、
帰る頃になると当たり前のように
私の鞄を持って走って行く



『帰るぞ!華帆っ!』


私の名前を呼ぶその声に

私は文句を言いながら後を追いかけていた



そのまま家まで帰ることが多くて
歩が会議に出るようになった理由なんて
考えもしなかった…




副会長が決まったあの会議の後から
先輩たち二人の前では明るく接していたけど

たまに寂しくなる時だってあって
帰りくらい誰かと一緒にいたかったけど
ららちゃんに会議が終わるまで待たせるわけにもいかなかった



でも、気付いたら隣には
自然と歩がいて


帰り道は寂しくなんてなかったんだ





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