すきって言わせて
「これ、取りに来ただけ。」
丁寧にプリントをまとめると
片手にその資料を納めた
「そしたら、華帆ちゃんが暗いところにひとりでいた。歩、分かるよな?」
先輩はじっと歩の目を見て
歩の方まで行くと肩をぽんと叩いた
歩は睨んだまま先輩の手を払いのけると
先輩から視線を外して
「…言われなくても分かってる」
先輩の言葉を聞く前に歩は理解したように
いつもの偉そうな態度でそう返した
すると、先輩はため息をつきながら
私の方を再び振り返ると小さく笑って
そのまま生徒会室を後にした
静かに扉が閉まる
私は歩とふたりきりになった