すきって言わせて
しんと静まりかえる教室で
歩は私の方へと近付いてきた
歩の顔が見れなくて俯いたままでいると
座る私の肩を掴んで無理矢理歩の方を向かされる
その行動に驚いて見上げると
真剣な目をした歩がいた
「華帆…」
幼い顔つきなのに
真剣な表情は少し大人っぽくて
不思議な感じがした
「なんで泣いてたの?」
くすぐるような優しい声に
自然と口が開いていた
いつもは素直になれないのに
今ならうまく言葉に出来そうな気がしたんだ…
「……っかたの」
小さくて消えそうな言葉
「寂しかったの…」