キスが教えてくれたもの♪




バイクが止まり、あいつの手がわたしの手に触れた。




って、どんだけ強く握っていたのかな?

もう手の感覚がないくらい、しびれていた。


「お前、力入れすぎ。

限度ってもんがあるだろ」


そう言いながら、あいつはわたしの指を一本一本解いていった。

振り向いたあいつに、そのまま優しく抱き上げられる。


って、わたしってどんだけ緊張して乗ってたのかな?

地面に足を付くなり、膝から崩れ落ちそうにグニャリとなった。


「っと……」


そのまま片手で抱きとめられ、事無きを得た。


「ま、初めてだろ? 無理ないよ」


くぐもった声が、フルヘルメットの奥から聞こえてきた。


「ここ座って」


と、通路の脇に設えられたベンチに座らされた。
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