キスが教えてくれたもの♪
だから、あの日、あの墓所で、霧子の泣いてる姿に出会った時。
その唇の赤さから、俺には、霧子の動揺が半端なものじゃないことが察せられたんだ。
「もしかして……親死んだとか?」
「婆ちゃんだよ」
「いまどき、婆ちゃんが死んで泣く奴いるんだ」
「っさい!
余計なお世話だよ!」
そう叫んで憤る霧子の泣き顔を見て、その素直さにほっとした。
あいつがどんだけ婆ちゃんを大切に思っていたのか、俺は知っていたから。