キスが教えてくれたもの♪
病室の由紀ちゃんは、想像以上に痛々しい姿だった。
点滴に繋がれた手は、肩から包帯で覆われていて。
恐らく頭の傷を治療する為に、髪の毛が所どころ無造作に短く刈られていた。
――きっと、長くて綺麗な髪だったんだろうな……
頭に巻かれたネットの下には、いくつもガーゼが当てられていた。
それでも……
山之辺が部屋に入ると、由紀ちゃんは直ぐに気がついて声を上げた。
「お兄ちゃん?」
「ああ……由紀、驚くなよぉ~ 今日は霧子を連れてきた」
「えっ? ホント!!」
あまりに気持ちの良いリアクションに、さすがのわたしも苦笑した。
――嘘じゃなかったんだね……