キスが教えてくれたもの♪



「霧子さんなら、そんなあたしの気持ち、わかってくれるんじゃないかなって……」



彼女の淡々とし表情は、十歳にしてはあまりに大人びたものだったけれど、違和感は無かった。

わたしだって、由紀ちゃんと同じで、涙も出なかったし。


でも……

わたしは彼女の小さい身体を抱きしめられずには居られなかった。


傷に触れないよう、慎重に、でも、しっかりと彼女の頭を胸に抱き、


「泣けない気持ちはわかるけど、泣いた方がいいよ……」


そう一言呟いた。
< 128 / 237 >

この作品をシェア

pagetop