キスが教えてくれたもの♪


なのに、わたしの腕の中の少女は、小さな声で呟くように言った。


「思い通りにいかないことなんてあり過ぎて、悲しいこともあり過ぎて、もう何も感じなくなっちゃった。

泣くのもずっと我慢してたら、どうやって泣くのかもわかんない。

ねぇ、涙ってどうやったら出るの?」


それは、余りに普通を装った、魂の叫びだったのだろうけど。

わたしは頷くことしかできなかった。



「泣き泣くなったら、泣けばいいよ……」



普通のことを普通にするって難しい。



そんなわかり切ったこと、いま思い出したよ。
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