キスが教えてくれたもの♪
∞山之辺の本気
飲み物を買いに出た山之辺は、なかなか戻ってこなかった。
わたしはすっかり由紀ちゃんと仲良くなって、唯一の共通の話題である、山之辺正哉について語りあっていたから。
きっと病室に入りづらかったのかもしれないな。
「霧子さん、そろそろお兄ちゃんを迎えに行ってあげて」
由紀ちゃんがそう口にした時、わたし分かった。
この二人の兄妹がどんなに深く結びついているかってこと。
「今日ははしゃぎ過ぎちゃった」
「あ、ごめんね、疲れちゃったかな?」
「少し眠りたい……」
その顔は本当に疲れて見えて、
「あの、わたしまた来ても良いよね?」
「嬉しい……」
「また来るね」
「……」
目を閉じた由紀ちゃんの顔は、やっぱりまだ幼い子供の顔だったけど。
固く結ばれた口元が、彼女の意思の強さを物語っていると思った。