キスが教えてくれたもの♪
授業を放り出して病院に駆けつけると、母は病室に寝かされ眠っていた。
肩を躍らせて立ちすくむわたしに、母の同僚のの看護師さんが状況を説明してくれたのだ。
念のため頭部のMRIを撮ったけれど異常はなかったこと。
血液検査の結果は若干の貧血が認められたけど大きな問題はなかったこと。
夜勤が続いていたので過労ではないかと。
内科の医師にも、2~3日、精密検査入院して身体を休めてはどうかと勧められた。
医者の無養生ならぬ、看護師の無養生。
「キリコちゃんだって心配だわよね」
夕食前の回診時、そう周りに勧められて、母も渋々検査入院を承知したのだった。
食事の後、薬が効いて眠ってしまった母を一人残していくことができず、ついベッドの横で微睡んでしまったのだ。
心細いんじゃないかな、って。
あんな夢を見るなんて。
一人残されて不安だったのは、わたしの方だったんだと気が付づかされた。