キスが教えてくれたもの♪
同世代の友人がいなくても、わたしは全く気にならなかったし。
人に頼ったり頼られたり、甘えたり甘えられたり。
他人の顔色を窺って築く人間関係には興味がなかったし、必要も感じなかった。
『人間、生まれるときも死ぬときもひとり。霧子、孤独に耐える人間になりんしゃい』
わたしの目指したのは、自立。
祖母の教えを忠実に守り実践してきたわたしには、一人で何でもできる自負があった。
掃除、洗濯、食事の支度。
一週間の献立を作って、無駄なく綿密な消費生活をする術まで。
年老いた祖母と働く母と三人の生活を守るため。
それはわたしの誇りでもあり、喜びでもあったのだ。
だから……、
人に頼らずとも生きていける強い心も持ち合わせている、と過信していた。