キスが教えてくれたもの♪


三和土に降り立った山之辺とわたしの視線が丁度絡んだ瞬間。

やつの唇がわたしのそれに重なったのだ。

それは触れるだけの優しいキスだったけど、その唇は熱を帯びていた。


「俺、昨日はすげぇ頑張っただろ?

弱った霧子をあのまま抱こうと思えば抱けたかもしれねぇけど。

そんなことしたら後が怖いしな。

キスしたら最後、自分を抑える自信がなかったから、手繋ぐだけで我慢したんだ。

だからこれは、ご褒美のキス。

霧子もぐっすり寝て大分元気になったみたいだし。

初めての夜は、またゆっくり楽しもうぜ。

じゃ、俺、行くな」


そんな口上をサラリと述べて、山之辺は帰っていった。


わたしにその熱を伝染させて。
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