キスが教えてくれたもの♪
咲の驚きは、そのままわたしの驚きでもあった。
やつの示してくれた気持ちに対して、わたしはちゃんと答えることができるだろうか?
わたしは山之辺を大切に思っている?
やつに対して優しい気持ちで接している?
わからない。
もし、そうなら不公平だ。
わたしに彼を受け入れる資格はない。
恋だの何だのと浮かれる以前の問題だ。
「どうしたの霧子、難しい顔して」
「う~ん、なんだかわたし山之辺に悪いことしたなって」
「えっ、どうして?」
「だって、わたし、実感が湧かないよ。
付き合ってるって言っても、あいつが一方的に迫ったからって感じだし。
そんな曖昧な気持ちで、山之辺に甘えていいのかな?」
う~ん、少し考えて、咲が真面目な顔でこう言った。
「いいんじゃない。
霧子は真面目に考えすぎだよ。
だいたい、オスがメスを求めるのは本能でしょ。
種族保存の本能は、どう考えたってオスの方が強いって話。
それを逆手にとるのが、賢い女だよ。
だいたい二人は両想いなんだし、遠慮することないよ」