キスが教えてくれたもの♪


――ふぅ……、群れる女のすることってわからない。

何がしたいんだろう?



わたしが諦めかけて手元の宿題に戻ろうと思ったところ、わたしの手首が無造作に掴れた。

その勢いで、手にしたシャーペンが音を立てて床に落ちる。


「話があるのよ、ちょっと来て」

リーダー格らしい、一番背の高い女がわたしを睨みつけながら言った。

「話ならここで伺いますよ。手短に……」

わたしだって負けてはいられない。

こんな理不尽な要求をあっさり呑むほど暇じゃない。

彼女の手を振り払い、落ちたシャーペンを拾おうと身をかがめた。


「グタグタ言わずに来ればいいのよっ!」


一歩踏み出し近寄ってきたもう二人の女に両腕を掴れ、わたしの身体は引きずられるように教室を出た。


――何だ何だ?


これが俗に言う”呼び出し”ってやつ?

この場合、ほとんど拉致だと思うけど。
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