キスが教えてくれたもの♪

山之辺は速攻わたしを抱き寄せると、少し荒げた息を整えながらわたしに口付けた。

抱きしめられた手の温もりが背中を通して伝わってくる。

山之辺のキスが好き。

ここが学校だとか、見られているとか、そんな全てが黙殺されるほど抗いがたい。

重なった唇は熱を帯び、わたしの自由を束縛する。


「ま、まさや……」

絶望のような呻き声が聞こえてきた。


山之辺のキスはどんどん深くなる。

わたしも心の平静を保てない。

もう周りはどうでも良かった。

やつの舌に翻弄され、熱い吐息に眩暈がした。

山之辺が好き。

宙に浮いたわたしの手は、いつしかしっかりと彼の背中を抱きしめていた。


「俺は霧子を愛してる。邪魔しないでくれ」


山之辺のきっぱり言い切る声が教室に響いた。


啜り泣きが遠ざかる。


いつしかわたし達の周りは静かになった。
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