キスが教えてくれたもの♪


山之辺家と山野家の生活を回すこと。


それがわたしと山之辺に与えられた使命なのだ。

山之辺の妹由紀ちゃんの毎日の生活と食事、フルタイムで働くわたしの母の生活全般。

この二つを学業と両立させながら上手く遣り繰りすることが、わたし達二人がいつも一緒に行動する理由である。

まぁ、実際はその全ての作業はわたしのこのか細い腕一本に任されていると言っても過言ではないのだけれど。


「わかった。先生には上手く言っとくよ。

霧子、頑張ってね♪

まぁ、山之辺に全て任せとけば問題ないって」


わたしのすがるような眼差しを気にも留めず、咲はわたしの肩を軽く叩き笑っていた。

「さ、さき……」

わたしの意志とは関係ないところで、全てが段取られたように決まっていく。

「ほら、霧子、いくぞ」

荷物の整理もそこそこに、山之辺に手を引かれて教室を出た。
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