キスが教えてくれたもの♪
「おっ、霧子、ちょっと待ってて」
コンビニの前で山之辺が立ち止まった。
「俺、大事なもの買ってくる」
「えっ、なに?」
耳元に口寄せられて、山之辺が囁いた言葉に絶句する。
――そ、それか……、確かに必要ですね。
「まさか、霧子が準備してるとは思えないし。
俺にしたって、急な展開だったからな。
いつもそんなもん持ち歩いてるほど、切羽詰ってねぇし」
「あ、当たり前でしょっ!」
真っ赤になってやつの手を振りほどいた。
「ちゃんと待ってろよ。逃げるなよ!」
一人コンビにへ入っていった山之辺は、わたしを気遣ってくれているんだと思った。
――流石に二人で買いにはいけないでしょ。
逃げないよ。
もう心は決めたから。