キスが教えてくれたもの♪
肌の触れ合う感覚が、身体中に電流を走らせた。
これが愛の儀式?
それにしては、あまりにも……
「い、いたぁ~」
世紀のその瞬間、その快感は痛みへと変わった。
「我慢しろ、誰もが超える壁なんだ。お前なら出来る」
冷徹無比な言葉を投げかけ、額に汗した山之辺がわたしの身体を抱え込んだ。
――誰もが超える壁、ってホントかなぁ~
必死に痛みに耐えながら、思い浮かんだのは祖母の言葉。
『霧子、人を疑うより信じる方が難しい。けどなぁ、信じると楽になるさ。信じれば、その人と一緒に幸せになれるからね』
それは全身全霊の信頼を寄せるということ。
「正哉……」
やつを信じるって思った瞬間、身体の力が抜けた。
「霧子……」
わたしを抱え込んでいたやつの腕の力が抜け、唇が重ねられた。
愛してる、と囁く甘い声。
幸福の予感に浸るまもなく、山之辺は更なる先へ進んでいく。
「ま、待って、もっとゆっくり……」
ひとつになれた喜びよりも、焦りが先に立つ。
山之辺の愛は留まるところを知らない。