キスが教えてくれたもの♪

「霧子、あんまり深く考えるな。

思考は時として、本当に大事なものを見誤らせる。

まだ、卒業まで暫くあるんだし。

俺という人間をじっくり感じて貰えばいい」


眉間に皺寄せたわたしのおでこを、山之辺の親指が優しくなぞった。

その感触が、なんとも心地良い。


「正哉……」


わたしはその手にそっと自分の手を重ねた。

それはとても自然に感じられたのだけれど、わたしにしては大胆な行動だった。

そのまま引き寄せられて、わたしはすっぽりと山之辺の腕の中。
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